改善提案している女性

改善提案報奨金に税金がかかる3パターン。税金の対象外にするには?

改善提案している女性
税理士の伴 洋太郎(ばん ようたろう) @ban_tax240です。
『改善提案の報奨金には税金がかからないのかな?』 『源泉所得税、天引きしなくていいの?』 そうお考えの方にむけた記事です。 当記事では、改善提案の報奨金と税金の関係について解説しています。 読んでいただくと、次のようなことがわかりますよ。
改善提案報奨金と税金の関係
  • どういう場合に税金がかかるか 給与所得、一時所得、雑所得のパターンがあります
  • 税金がかかる場合の取り扱い(報奨金を払った側)
  • 税金がかかる場合の取り扱い(報奨金を受け取った側) 所得税の源泉徴収や消費税の計算に影響があります
  • 税金がかからないようにするにはどうすべきか 通常の職務以外の提案を募集する、強制しない、一括払いするなどのポイントがあります

改善提案と報奨金の関係

提案している様子 皆様の職場には、社内提案制度はありますか? 発明と呼ぶほどでもない事務や作業の合理化、経費の節約などの工夫を従業員から募って、その内容に応じて報奨金が支払われる制度です。私がかつて所属していた会社にもありました。 さてその報奨金、もらった側に税金がかかる場合がありますのでご注意くださいね。
改善提案報奨金に税金がかかる3つのパターン
  1. 給与所得
  2. 一時所得
  3. 雑所得

給与所得として税金がかかるパターン

電球の描かれた付箋

どういう場合に該当するか

提案すること自体がその人の本来の仕事である場合、報奨金は給料に該当します。 仕事の対価として支払われたものですからね。 ▼給与所得についての解説はコチラ▼ ところで、提案が仕事ってのはいったいどういうことでしょうか?わたくし自身の例でご説明します。

具体的な事例

大学を卒業して初めて入社した運送会社で、物流改善課という部署に配属されました。その名の通り、物流の品質・コスト改善を職務とする課です。 さて、そんな私が物流品質の改善提案を行った場合、それは本来の仕事といえるでしょうか? 答えはイエスです。簡単ですよね?それでは、こんな場合はどうですか? 社内改善提案の募集がありました。わたしは事務所内の照明にかかる電気代を節約するために、蛍光灯の間引きを提案したのです。この提案は私の本来の仕事といえるでしょうか? 答えはノー。私の仕事は物流品質・コストの改善であって、経費の節約提案ではありません。 このように、提案そのものがその人の職責でなければ、ひとまず給料には該当しません。 ただし一つだけ注意点が。 社内提案に全社員の参加が義務付けられている場合には、提案を行うことが職責になってしまいます。つまり、本来の仕事という扱いで報奨金は給与に該当するわけです。

該当するとどうなるか

貰った側

報奨金は給与扱いなので、通常のお給料と同じ扱いになります。つまり、税金が天引きされてしまうわけです。

払った側

払った側にとっても給与扱いなので、所得税を天引きしなければなりません。給与なので、消費税はかかりません。

一時所得として原則的には税金がかかるパターン

壁にはられた上向きの矢印

どういう場合に該当するか

その提案が本来の仕事ではない。そして一括払いである。 そんなとき、報奨金は一時所得に該当します。 一時所得とは、営利目的以外の、仕事や資産売却の対価でない一時的な収入をいうためです。 原則的には税金の対象となります。

該当するとどうなるか

貰った側

貰った金額が年間合計で50万円を超えなければ、税金はかかりません。確定申告も不要です。 社内提案の報奨っていったらお小遣い程度ですよね、普通。 50万円を超えるようなことはないと思いますので、金額のことはよっぽど気にしなくてよろしいかと考えられます。
特許とか実用新案とかの登録対象になるレベルだと、話は変わります。

払った側

福利厚生費で処理します。給与と違って所得税は天引きしません。 ただし消費税はかかります。

雑所得として税金がかかるパターン

メモを囲んでアイデア出しする様子

どういう場合に該当するか

その提案が本来の仕事ではない。そして継続払い(毎月払いとか、毎年払いとか)である。 そんなとき、報奨金は雑所得という扱いになります。 1回の提案について何度も報奨金が貰える場合に該当します。 特許や実用新案とかの登録対象になるレベルですと、その改善提案の「利用料」といったかんじで継続的に支払いをおこなう企業もあるようです。

該当するとどうなるか

貰った側

原則、税金がかかりますし確定申告が必要です(ノ∀`)アチャー ちなみに、「雑所得は20万円未満なら申告しなくても良い」という特例もあります。が、この特例はいろいろ罠がありますのでご注意ください。

払った側

福利厚生費で処理します。給与と違って所得税は天引きしません。ただし消費税はかかります。

もらった側に税金がかからないようにするためには

アイデア帳とペン 改善提案の表彰金に税金がかかるとか、申告が必要とかは避けたいですよね。 提案をする側のモチベーションにも関わりますので。 そこで、次のような点を意識して改善提案制度を設計してはいかがでしょう?
もらった側に税金がかからないようにするためには
  • 通常の職務以外の提案を募集
  • 参加を義務付けない
  • 一括払いにする
これでしたら、年間の報奨金額が50万円を超えない限り、もらった側に税金がかかることはありません。 なお報奨金を支給する場合には、必ず支給基準を規程として文書化しておきましょう。 基準が明確になっていないと、税務調査のときに困るからです。 「支払ったのは改善提案の報奨金である。」と主張しても、給与とみなされてしまうこともありえますからね。そうなると結局、税金がかかっちゃいます。

まとめ

路面に刻まれたideaの文字 改善提案の報奨金に税金がかかる3つのパターンを解説いたしました。
改善提案報奨金と税金の関係
  • どういう場合に税金がかかるか 給与所得、一時所得、雑所得のパターンがあります
  • 税金がかかる場合の取り扱い(報奨金を払った側)
  • 税金がかかる場合の取り扱い(報奨金を受け取った側) 所得税の源泉徴収や消費税の計算に影響があります
  • 税金がかからないようにするにはどうすべきか 通常の職務以外の提案を募集する、強制しない、一括払いしないなどのポイントがあります
生産性向上に地味に貢献してくれるのが改善提案です。税金関係にも注意しつつ、ご活用くださいませ。

この記事を書いたひと

伴 洋太郎(ばん ようたろう)
伴 洋太郎(ばん ようたろう)税理士
BANZAI税理士事務所 代表税理士。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。1982年6月21日生まれ。個人事業主、フリーランス、小規模法人の税務が得意で、一般の方向けにやさしい解説記事を書けるのが強み。詳しいプロフィールはこちら。
freee認定アドバイザー3つ星
BANZAl税理士事務所
5.0
Based on 20 reviews
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鈴木圭鈴木圭
05:56 25 May 23
起業当初からお世話になっております。特に税金に関しての知識が豊富で、何より、提案力にいつも助かっております。いくつもの金額シミュレーションをしてくれて最適解を導いてくれます。また、チャットやzoomで相談できるというのもメリットだと感じております。個人な感想としては、税理士さんは先生という感じが強くて、なかなか気軽に相談という訳にはいかないと思っていましたが、伴さんの人当たりの良さにびっくりしました!おすすめです!
mm yymm yy
04:13 26 Mar 23
遠方からオンラインにて、スポット相談をお願いしました。自己判断での確定申告に不安を覚え、見て頂いたのですがとても親身になって一から教えてくださいました。来年は少し自信を持って提出できそうです。オンラインで気軽に相談できるので、場所にこだわらずよい税理士事務所さんにお願いできるのはとてもいいと思いました。HPにもどのような相談に乗って頂けるのか具体例が書いてあるので安心できます。大変助かりました、またどうぞよろしくお願い致します。
Mike ShinodaMike Shinoda
05:50 15 Mar 23
2年ほど前からお世話になってます。ホームページ通りの気さくで、誠実なお人柄です。特にシステム導入に強みがあります。会計ソフトFREEの操作スピードは圧巻。速やかに不整合が修正・自動化されます。また、最新のIT技術の導入にも余念がありません。中小企業のDX推進にも力を発揮されるのでは、と思います。私はいつも単発で、かつ突発です。が、快くご対応いただいています。感謝しかありません。個人的には、勉強熱心、ウィットのあるお人柄、チャレンジ精神をリスペクトしています。これからもよろしくお願いします。
すみかわあやのすみかわあやの
05:48 23 Jan 23
ありがとうございました。会計ソフトの入力がうまく行かず、またデータの不整合などがあり、困っていました。手早く直してくださり助かりました。他に不備がないかもご確認頂けたので、これで安心して確定申告ができます。事前にメールなどでやり取りしてくださり、私の負担なく作業頂けて助かりました。ホームページからも良い方だというお人柄がわかり、頼むことに不安はなかったのですが、そうは言っても会計ソフトというお金が絡む大事な事を依頼するので、お会いするまでは緊張しましたが、zoomのビデオ通話でお話して、優しい話しやすい、そして信頼できる方で安心しました。またよろしくお願いいたしますm(_ _)m
Fumi AFumi A
10:10 07 Jan 23
今後の将来性を考えている時に伴先生にお会いしました。個人事務所を設立するか、法人を設立するか悩んでいましたが、メリット、デメリットを的確に教えて頂き今後の方向性を考えるのに大変助かりました。綺麗な事務所で凄くフランクで話しやすい方だったので、最初は何を話そうかと緊張していましたが、直ぐに解れて和気藹々と悩みを解決出来ました。是非、税務関係で悩まれている方がいましたら、私は伴先生をイチオシいたします。
K TK T
09:30 27 Dec 22
初めての確定申告で分からないことだらけな折り、知人の紹介で相談させて頂きました。会うまではとても緊張していましたが、伴さんの人柄がすごく相談しやすかったです。確定申告のソフトの使い方や間違いを詳しく説明頂き、とても分かりやすかったです!自分で悩んでいた内容がすぐに解決したので、また分からない事があったら真っ先に相談させて頂きます。ありがとうございました!
マハロマハロ
07:05 23 Dec 22
記帳の相談をするのに税理士の方を探していて、ネットで探していてホームページを見てアットホームな感じだったので決めさせて頂きました。担当してくださった税理士の方がとても親切に相談に乗って下さって、とても助かりました。また是非お願いしたいと思います。
岡田祐平岡田祐平
10:10 19 Nov 22
税理をお願いして3期目です。請求書、領収書等はScanSnapで送っておけば処理してくれる。会計ソフト freeeでの説明も分かりやすい。Chatworkでの普段のやり取りもレスポンスが早い。ITに強い税理士さんで、私にはすごく合っています。
名城真彦名城真彦
04:35 12 Nov 22
今期からBANZAl税理士事務所さんにお世話になっています。税理士さんに顧問をお願いするのは初めてで、他にも何社か税理士さんを検討したのですが、代表の伴さんの誠実な人柄に惹かれてこちらにお願いすることにしました。あとネットに強いところも決め手でした。いつも親身にご対応いただいていまして安心してやりとりができています。ちょっとした質問も気兼ねなくお応えいただいていてとても助かっています。
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