永年勤続表彰の記念品が給与扱いされないようにするには

税理士の伴 洋太郎(ばん ようたろう)@ban_tax240です。

長く貢献してくれた役員・従業員へ、会社から感謝の気持ちをあらわす永年勤続表彰制度。表彰するだけでも良いのですが、多くの企業では記念品も渡していることでしょう。表彰される側もプレゼントがあると嬉しいですよね。

ところで、永年勤続表彰の記念品を受け取った側に税金がかかってしまうことがあるのですが、ご存知でしょうか?役員や従業員へ支給したお金やモノは、原則的に給与扱いするものだからです。せっかく感謝の気持ちをあわらしたのに、そこから税金が引かれてしまうとは、なんとも虚しい。

しかし、一定の要件を満たしている記念品であれば、税金をとられずに丸々従業員が受け取ることができるんです。そこで当記事では、永年勤続表彰の記念品に税金がかけられないで済む方法をお伝え致します。

 税金がかかることを承知で金一封を支給するなら、それはそれで構いません。ただし、税金は会社があらかじめ差し引いて渡すことが必要ですのでご注意ください。

税金がかけられないようにするための条件

現金やそれに準ずるものを支給しない

記念品として現金を支給した場合には、給与として税金がかかってしまいます。給与や賞与との区別が曖昧になってしまいますからね。

とはいえ永年勤続表彰は、長年の勤務に感謝の意を示す儀礼的な性質のものです。そのようなものにまで税金をかけることは、社会一般の常識にそぐわないものであるといえましょう。

そこで、例外的に税金をかけない方法が用意されています。

「金一封」には税金がかかる

国税庁は、次のような記念品は給与扱いしなくて良いと説明しています。給与扱いしなくていいということは、受け取った側で税金がかからないと言うことです。

給与扱いしなくてもいい記念品
  • モノ
    時計・文具・書籍などの贈呈
  • コト
    観劇・食事・旅行などへの招待

現金じゃないのに現金扱いされてしまうもの

記念品の中には、現金じゃないのに税金の対象になってしまうものがあります。商品券が、その最たる例です。換金性が高く、使いみちの選択性も高いため、現金と同視されてしまうのです。

また記念品として渡したカタログギフトについても同じく、税金がかかります。カタログギフトは換金性こそ高く無いものの、選択の自由度が高いため商品券に準じて扱われます。

旅行券は使用実績を管理することが大事

旅行券は商品券の支給同様、給与として税金がかかります。ただし、次の要件を満たせば税金ががかからないことが、NHKから国税庁への問い合わせによって確認されています。

その要件とは次の4つ。

旅行券の支給が給与扱いされないための要件
  1. 旅行の実施は、旅行券の支給後1年以内であること。
  2. 旅行の範囲は、支給した旅行券の額からみて相当なもの(海外旅行を含みます。)であること。
  3. 旅行券の支給を受けた者が当該旅行券を使用して旅行を実施した場合には、所定の報告書に必要事項(旅行実施者の所属・氏名・旅行日・旅行先・旅行社等への支払額等)を記載し、これに旅行先等を確認できる資料を添付して貴社に提出すること。
  4. 旅行券の支給を受けた者が当該旅行券の支給後1年以内に旅行券の全部又は一部を使用しなかった場合には、当該使用しなかった旅行券は貴社に返還すること。
換金したりしてないか、ちゃんと旅行のために使ったか、しっかり確認してくれよな!

ということです。

過度に高価なものを支給しない

記念品に税金がかけられないようにするためには、その記念品の価格が社会一般的にみて相当な金額以内であることが求められます。 あまりに高価な記念品は、賞与を支給したのと同視されてしまうためです。

なお、表彰対象者の勤続年数や地位などに照らして、金額に差をつけることは認められています。

社会一般的にみて相当な金額って、いくらなの?

『社会一般的にみて相当な金額』って、めちゃめちゃ漠然として曖昧な基準です。 社会情勢は刻々と変わりますし、税理士としても明確な金額をアドバイスすることが難しく、悩ましいところであります。 ただし、参考にできる事例はあります。

NHKが旅行券の贈呈について国税庁へ照会した事例では、次の金額なら『相当な金額』の範囲内であると認められています。

社会一般的にみて相当な金額の具体例
  • 勤続満25年で10万円相当の旅行券を進呈
  • 勤続満35年で20万円相当の旅行券を進呈

なおこの事例は、バブル景気真っ只中(昭和60年)のことです。 現在の社会情勢に照らして、いまだ「社会一般的にみて相当な金額」であるかといえば、どうなんでしょう?

とはいえこの金額以下であれば、あとあと税務署にダメ出しを食らう可能性は無いと言えます。 現在でも国税庁のホームページで公表されている事例ですからね。

『永年』勤続表彰でなくてはならない

会社が役員や従業員へ支給したものは、例え現物であっても税金がかかるのが原則です。 永年勤続表彰の記念品に税金をかけなくて良いこととされているのは、例外的な取扱いなんです。

ですから、そもそも『永年』勤続表彰ではないということであれば、例外的な取扱はできません。 原則にもどって、税金がかけられてしまいます。

では、『永年』とはどれぐらいだったらよいのでしょう? 国税庁は、次の2つをどちらも満たしていればオッケーであると見解を示しています。

永年勤続表彰であると認められるためには
  1. 勤続年数がおおむね10年以上である人を対象としていること。
  2. 同じ人を2回以上表彰する場合には、前に表彰したときからおおむね5年以上の間隔があいていること。

『おおむね』と言っていますので、数ヶ月ぐらい足りなくてもセーフでしょう。

まとめ

永年勤続表彰の記念品に税金がかからないようにする方法をお伝えしました。

要件を満たしていることを明らかにするため、要件を満たさない表彰をしないためにも、永年勤続表彰のルールを規程として文書化しておくことをオススメします。

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