開業前に支払ったお金も、開業後の経費にできる。

 

税理士の伴 洋太郎(ばん ようたろう)@ban_tax240です。

 

具体例で考えてみましょう

 

Kaigyouhi

 

独立開業を夢見て、3月末に会社を退職したこの男性。

 

晴れて7月にお店をオープンすることが出来ました。

税務署へも、7月1日に開業したことを届け出ます。

 

開業準備期間は、4〜6月の3ヶ月間。

 

経営戦略の立案、店舗内装やサービスメニューの検討など、多大な努力で開業にこぎつけたことでしょう。

将来を楽しむ気持ちも大きかったでしょうが、ご苦労もたくさんあったかと思います。

お疲れ様でした。

 

ところで、なにか問題は感じていませんか?

例えばこんな問題です。

 

 

開業費

 

お店のオープン後に使ったお金が経費になるのは当然、当たり前、誰でもわかります。

それでは、開業前に使った開業準備費用はどうですか?

 

税務署へは7月1日からの開業であると届け出を出してしまっています。

それでも経費として認めてもらえるか、という問題です。

 

結論はこの記事のタイトルにあるとおり。

つまり、経費で落とせるので安心してくださいってことです。

 

具体例で見る開業前の支払い

 

既に開業済の方なら想像がつくと思いますが、これからの方はイメージつきにくいかもしれません。

開業前に支払わなければいけないものって、具体的に何だ?

 

ここではその例を紹介します。

 

創立費

 

まず最初に、これは個人事業主として開業する方には関係ない話です。

読み飛ばして次の「開業費」をご覧になってください。

 

創立費というのは、会社を作るためにかかる費用です。

司法書士に支払う登記手数料や、法務局に支払う登録免許税などがあります。

 

開業費

 

営業をスタートするまでに必要となる費用です。

「先行投資」というイメージで考えるとわかりやすいでしょう。

 

あくまで一例ですが、次のようなものが挙げられます。

 

広告宣伝費

 

チラシ、名刺、パンフレット、ショップカード、ロゴ等々の、印刷やデザインにかかる費用です。

 

ちなみに僕もロゴマークと名刺はデザイナーの方に料金をお支払いし、作っていただきました。

 

市場調査費

 

開業戦略を練るにあたっては必須の費用です。

 

図書代やセミナー受講料、調査会社への情報提供料などが含まれます。

 

一般消費者を顧客とする業界なんかだと、ライバル店の実地調査なんてのも考えられます。

 

飲食店に食べに行く。

施術療法士に施術を受けに行く。

美容師に髪を切ってもらう。

などなど。

 

 友達と行ったとか家族といったとか、某都知事みたいなことをしても経費にはなりませんのでご注意を。

調査目的であれば、調査結果を記録として残しておきましょう。

 

交際費

 

取引先や仕入先、外部提携先との関係構築に必要な接待飲食費、手土産代などあります。

 

会議費

 

ビジネスパートナーとの打ち合わせに使った喫茶店の費用、貸会議室の賃料、打ち合わせに向かう交通費などがあります。

 

経理処理の方法

 

以下の話は開業費を例にしますが、創立費でも同じことです。

 

支払ったときの経理処理

 

普通の経費は、支払いの都度経理処理しますよね。

 

「交際費 5,000円 / 現金 5,000円 飲食店A 取引先のBさんと」

 

みたいな感じで。

 

開業の費用については、かかった費用をまとめて経理して構いません。

 

広告宣伝費も市場調査費も会議費も交際費も、まるっとまとめて

 

【個人事業主の場合】「開業費 100,000円 / 元入金 100,000円」

【法人の場合】「開業費 100,000円 / 現金(預金) 100,000円」

 

といった具合に経理してください。

 

開業準備費用のいっさいがっさいを、「開業費バケツ」にぶち込むイメージです。

 

開業費

 

ただし、内訳は後で見てわかるようにしておきましょう。

領収書をとっておくことは当然として、開業準備費用の明細一覧をExcelでまとめておくなど、です。

 

 

バケツから放出して経費にする

 

開業準備費用を経費で落とす際には、バケツに溜まった水を決算書に注ぎ込むイメージを持ちましょう。

 

決算書に注ぐというのが、要するに経費で落とすということです。

ちょっとわかりにくいかもしれませんが、ひとまずそういうもんだと思ってください。

 

1回で経費にする必要はない

 

なおココで、知ってると得することがあります。

 

それは、バケツから各年度に注ぐ経費の量は自由に決めていいってこと。

 

 

開業費  1

 

 

バケツの水を

  • ある1年の確定申告で経費にしてもいいし
  • 何年かに分けても構いません。

 

分ける際には均等で無くても構いませんし、注がない年があってもオッケーです。

 

これの何が得なのかは、後述します

 

経費にするときの経理処理

 

バケツ(10リットル入っている)から水(1リットル)を注ぐイメージを経理に置き換えると

 

開業費償却 1 / 開業費 1

 

といった感じです。

 

「開業費償却」という科目でなくても構いません。お使いの会計ソフトが提案するそれっぽい費用科目をつかってください。

 

なおバケツに残った9リットルは、来年以降つかいます。

 

 法人の場合、開業後も支払いが続く費用(オープン前から払っている家賃や水道光熱費など)は複数年に分けることが出来ません。

 

開業費には、税金の額を操作できるという特徴がある

 

ここからが知ってると得するかもしれない情報です。

 

バケツの水から経費として注ぐ水の量は自由に決められます。

これは、毎年の税金の額を操作できるってことを意味しています。

 

どういうことか。以下で説明します。

 

税金の額を操作するという意味

 

税金は収入から経費を差し引いた差額「利益」に対してかかります。

 

利益

 

開業費バケツに入れた水を任意に注ぐことができれば、利益の額も操作できてしまいます。

利益が操作できるということは、税金の額も操作できるってことです。

 

開業費  3

 

 

 

利益操作っていうとイメージ悪いですが、税金に関する法律で認められた、まっとうな処理です。

ご安心くださいませ。

 

 とはいえ融資審査の場面では、こういった恣意的な操作は印象がよくありません。

気になる方は5年以内の年数で均等に経費にしていただければよいかと。

 

注意点

 

開業の準備として支払ったもののなかには、上記の方法が使えないものもあります。

 

開業費ではないもの

 

1個10万円を超える設備投資は対象外

 

営業用の車を買ったとか、内装をリフォームしたとか、販売管理ソフトを導入したとか。

開業準備費用といえど、1個あたり10万円を超える設備投資は上記の方法を使えません。

 

こういうものは、「減価償却」という別の方法で、規則的に経費にしてきます。

 

利益操作には使えません。

 

あとから返ってくる可能性があるものは対象外

 

敷金とか保証金とか。

 

こういうものはそもそも経費になりません。

確かにお金は出ていったけれども、預けてるようなものですからね。

 

返ってこないことが契約上明らかである場合には、費用にできる可能性があります。

 

商品や材料の仕入れは対象外

 

商品や材料は、売れたときに売れた分だけ経費にできます。

 

開業準備としてオープン前に仕入れた商品や材料も同様です。

売れなきゃ在庫として残るだけ。

 

利益操作には使えません。

 

 

まとめ

 

開業前にしはらったものを経費にする方法をお伝えしました。

 

開業準備費用って積もり積もるとけっこうな額になりますので、これを経費にできないともったいないです。

いっぽうで、開業準備中はバタバタしてて、経理のことまで頭が回んない、という方も多いことでしょう。

 

ですので、とにもかくにも領収証だけはしっかりとっておいてください。

保管さえちゃんとしてあれば、経理処理自体は決算までにやれば間に合いますからねっ!

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