ホームページ制作費用は一発で経費にできるか?それとも償却か?

税理士の伴 洋太郎(ばん ようたろう)@ban_tax240です。

ホームページの制作を外注すると、まあまあな金額がかかりますね。
中小企業のものであれば、一般的には数十万円程度必要でしょう。
100万円以上する場合も珍しくありません。

これだけの支出をすると気になるのが、一発で経費にできるかということ。

税理士からは「10万円以上のものを購入したときは、何年かに分けて経費にするんです。」と言われたよ。償却とかいうやつ。

そうそう、それは確かに正しい。
正しいのですが、ホームページについては考え方が少し特殊です。

今回は、当サイトのリニューアルを期に、ホームページ制作費用は一発で経費にできるか、それとも償却しなければならないかを考えます。

基本的には、一発で経費にしてオッケー

支払ったお金を何年かに分けて経費にする方法を「償却」といいます(ざっくり)。
中小企業の経理で償却処理が必要なものは、主には次の2つ。

中小企業の経理で償却処理が必要なもの
  • 減価償却資産
  • 繰延資産

ホームページは、そのいずれにも該当しないことから償却をする必要がありません。
つまり、一発で経費にしてオッケーです。

以下、なぜ償却の対象にならないかを説明します。

減価償却資産じゃないから

減価償却資産に該当する支払いは、何年かに分けて経費にする必要があります。
しかし、ホームページは減価償却資産ではありません

その理由を、確認します。

減価償却資産とは

減価償却資産とは、時の経過とともに価値が減っていくものをいいます。

ソフトウェアは減価償却の対象となることは、上掲の記事でご案内のとおりです。

ホームページは減価償却資産ではない、その理由

ホームページというのは、自社のPRを目的として、インターネット上に公開している文章や画像、デザインなど情報の集合体です。
それらは「時の経過とともに価値が減っていく」という性質を持ちませんので、減価償却資産には該当しません

もちろん、ウェブサイトを閲覧するためにはソフトウェアが必要です。
オペレーションシステムであったり、ブラウザであったり。

ホームページ制作費用の中に、それを閲覧するために必要なソフトウェアの制作料は含まれていますか?
含まれていないですよね。そりゃそうです、だって情報を作っただけだもの。
ソフトウェアの制作を依頼したわけでは無いはずです。

したがって、ホームページは減価償却資産ではありません。

繰延資産じゃないから

繰延資産に該当する支払いは、何年かに分けて経費にする必要があります。
しかし、ホームページは繰延資産ではありません

その理由を、確認します。

繰延資産とは

繰延資産というのは、おもに次の要素をすべて満たしているものを言います

繰延資産の主な要件
  • すでに支払いが終わっている
  • すでにサービスの提供が完了している
  • 支払った事により受けられる効果が1年以上つづく

よくわかんないと思うので、具体的を示します。

繰延資産の具体例
  • フランチャイズの加盟金(返還されないことが確定しているものに限る)
  • 建物などを借りるときの権利金(返還されないことが確定しているものに限る)
  • ロゴマークなどのデザイン料(商標・意匠登録がされる場合は減価償却資産)

繰延資産に該当すると、その支払いを何年かに分けて経費にする必要があります。
支払ったときに一発で経費に落とすことができないわけです。

ホームページは繰延資産ではない、その理由

ホームページの制作には、デザインという要素が含まれています。
繰延資産であるロゴマークのデザインと、その性質が似ているわけです。

ただし、ロゴマークと決定的に異なる点もあります。
それは、頻繁に更新がされるということ。

ホームページは、その内容が頻繁に更新されるのが一般的です。
開設時点での状態がそのまま、1年以上継続することは無いと考えられます。
すると、繰延資産の要件である「支払ったことによる効果が1年以上つづく」を満たさないことになるのです。

したがって、ホームページは繰延資産ではありません。

例外として、何年かに分けて経費にする必要あり

基本的には一発で経費にできる、ホームページ制作費用。
しかし時として、それがかなわないこともあります。

ソフトウェアを組み込んでいる場合には、減価償却

ホームページの制作費用に、ソフトウェアの制作費は含まれていないから。
減価償却資産に該当しない理由として、そう説明しました。

しかし、場合によってはソフトウェア制作費が含まれていることもあります。
ECサイトの構築や、サイトへのデータベース管理システムの組み込みなどが例として挙げられます。

ホームページ制作制作費用のうちにソフトウェア制作に該当する部分がある場合には、それらだけを抜き出し、5年間かけて均等に経費にする必要があります

費用が少額(青色申告の場合30万円未満)であれば、一発で落としてもいいという特例もあります。

支出の効果が1年以上に及ぶ場合には、繰延資産

ホームページは1年以内に更新されるのが一般的であるから。
繰延資産に該当しない理由として、そう説明しました。

年に1回、年末年始の営業時間をお伝えするだけでも、更新したことになります。
現実的には、ここが引っかかって繰延資産に該当してしまうことは少ないのではないかと思います。

では、ホームページの制作費用が繰延資産に該当する場合のってどんな時なんだろうか。
2017年、ヤマハ発動機が税務調査の結果申告漏れを指摘された事例が、それにあたります。

 

ヤマハが税務調査で指摘された理由

同社はホームページに掲載するためのアニメ制作費用など2億円を、広告宣伝費として一発で経費にしていたそうです。
このアニメが年度をまたいで使われていたことから、制作費用についても2年に分けるよう指導をうけたとのこと。
支出の効果が1年以上(2年間)に及ぶから、その及ぶ期間に応じて費用を分けよと。

本事例はホームページそのものではなく、そのコンテンツについて指摘されたものです。
同様にホームページ掲載用のアニメや動画を作製した場合には、その費用だけを抜き出し、使用期間に応じて分割して経費にする必要があります。

ホームページへの掲載予定期間が決まっているのであれば、その期間で分割しましょう。
決まってないのであれば、広告宣伝用資産の償却年数に準じて5年間で分割しておけば問題ありません。

費用が少額(20万円未満)であれば、一発で落としてもいいという特例もあります。

まとめ

ホームページ制作費用を一発で経費にできるか、お話しました。

当ホームページはブログ更新を頻繁に行っていますし、大掛かりなコンテンツもありません。
もちろん制作費用は一発で経費にする予定です。

この記事を書いたひと

伴 洋太郎(ばん ようたろう)
伴 洋太郎(ばん ようたろう)税理士
愛知県西尾市にある伴洋太郎税理士事務所の代表です。1982年6月21日生まれ。クラウドを使った業務効率化の提案を得意としています。郷ひろみと間宮祥太朗とばくだんいわを合成したような顔をしている、と言われております。 税法免除大学院1年目に官報合格したという変わり種。freee"マジ価値"meetup!名古屋地区のリーダーです。既婚。詳しいプロフィールはこちら。
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