会社で感染防止用の備品を買ったんだけど、どうやって経理したらいいの?
そうお考えの方へ向けた記事です。
当記事では、法人や個人事業主がマスクやフェイスシールド、消毒液などを購入した際の経理会計処理について解説しています。
読んでいただくと、次のようなことが分かりますよ。
- 勘定科目は使いみちによって異なる
消耗品費のほか、福利厚生費や交際費、寄付金で処理するものもあります。 - 【原則】使ってはじめて経費になります。未使用分は経費として認められません。
- 【例外】経常的に購入・使用するものは、購入時点で経費にできます
- 【例外】感染対策備蓄用であれば、未使用でも経費にできます。災害用備蓄品と同じ考え方です。
目次
マスク、フェイスシールド、消毒液の勘定科目
マスク・フェイスシールド・消毒薬の勘定科目は、それらの使いみちによって変わります。
具体的には、次のように分けます。
- 自社の業務で従業員や顧客がつかうもの
消耗品費 - 従業員やその家族向けに配布するもの
福利厚生費 - 役員や特定の従業員、個人事業主、その家族に限定して配布するもの
役員報酬、賃金給料、事業主貸など - 取引関係を良好にするため、顧客へ贈答するもの
交際費 - 見返りをもとめず寄付するもの
寄付金
なお寄付するものについては、特定の条件を満たした場合には「寄付金」以外の科目を使っても構いません。
サプライチェーンを維持するための、必要な投資と認められるためです。
国税庁の見解によれば、次のすべての要件をみたしていれば消耗品費として扱ってもよいこととされています。
- コロナウイルス感染症対策として緊急、かつ、感染症の流行が終息するまでの間に限って行われるもの
- 寄付先である取引先等において、マスクの不足が生じていることにより業務の遂行上、著しい支障が生じている、又は今後生じるおそれがあること
- その取引先等が業務を維持できない場合には、貴社において、操業が維持できない、営業に支障が生じる、仕入れ等が困難になるといった、貴社の業務に直接又は間接的な影響が生じること
【原則】経費になるのは、使った分だけ
消耗品は通常、使用してはじめて経費にできます。
未使用分ついては、使用するまでは在庫(「貯蔵品」という勘定科目)として計上しなければいけないのです。
購入時点で全額「消耗品費」に計上していた場合、決算時点での在庫相当額を「貯蔵品」に振り替える必要があります。
具体的には、次のとおりです。
- 購入時
消耗品費 100,000円 / 現金 100,000円 - 決算時
貯蔵品 20,000円 / 消耗品費 20,000円
【例外】経常的に使うものは、買ったときに経費にできる
消耗品は使用したときに初めて経費にするのが原則ですが、購入時点で経費にすることも例外的に認められています。
決算毎の在庫計算を省略しても、損益計算に大きな影響がないケースもあるためです。
具体的には、次のすべての条件を満たす場合に購入時点で経費にすることが認められています。
- 事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに準ずるものである。
- 年間の購入量が概ね一定で、かつ経常的に消費している
- 継続して、その取得した日にを含む年度に経費計上している
【例外】感染対策備蓄用のものは、備蓄をはじめた時点で経費にできる
未使用であったとしても、それが感染対策用に備蓄する目的で購入した場合には、購入時点(備蓄開始時点)で全額経費にしてしまって構いません。
備蓄目的で購入したものは、使用することを予定していないためです。使用してはじめて経費になるという考え方がなじまないため、未使用であっても経費にします。
これは、災害用備蓄品と同じ考え方です。
まとめ
法人や個人事業主がマスクやフェイスシールド、消毒液などを購入した場合の経理処理について解説しました。
- 勘定科目は使いみちによって異なる
消耗品費のほか、福利厚生費や交際費、寄付金で処理するものもあります。 - 【原則】使ってはじめて経費になります。未使用分は経費として認められません。
- 【例外】経常的に購入・使用するものは、購入時点で経費にできます
- 【例外】感染対策備蓄用であれば、未使用でも経費にできます。災害用備蓄品と同じ考え方です。
この記事を書いたひと
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税理士・1級FP。個人事業主や中小法人の税金のお悩みを解決したり、会計処理・税務申告の代行をやったりしています。 freeeが超得意で導入支援の実績多数。一般の方向けのやさしい税務解説記事を書けるのが強みです。詳しいプロフィールはこちら。
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