自宅兼事務所の家賃って、家賃支援給付金で補助してもらえるの?
そうお考えの方へ向けた記事です。
当記事では、フリーランスを含む個人事業主の自宅兼事務所と家賃支援給付金の関係について解説しています。
読んでいただくと、次のようなことがわかりますよ!
- 対象となるのは、経費として税務申告している部分
家賃のうち「家事按分」によって経費にできる部分の金額が支給対象です。 - 住宅ローンは支給の対象外
本制度の支援対象となる物件は、他人から借りて賃料を払っているものに限られます。 - 貸主との関係に注意
居住専用の契約になっている物件を事業用に使うことは、契約違反にあたる可能性があります。
事業に使用している部分のみが給付対象
個人事業主の自宅兼事務所は、家賃支援給付金の支給対象です。
居住用として契約しているアパートやマンションであっても、その一部が業務遂行のために必要で、実際に業務用に使用しているのならオッケーです。
ただし個人事業主の自宅兼事務所のうち家賃支援給付金の対象になるのは、自らの業務に使用している部分に限られます。
家賃のうち経費として税務申告している部分のみが給付対象とされているためです。
住居兼事業所については、事業用の地代・家賃として税務申告している部分のみ、給付の対象となります。
なお、家賃のうち事業に使用している部分の金額は、「家事按分」という方法で計算します。
住宅ローンは対象外
住宅ローンは、家賃支援給付金の給付対象ではありません。
本制度の支援対象となる物件は、他人から借りているものに限られるためです。自己所有の住宅について支払うローンは、対象外となっています。
コロナ感染症の影響により返済が困難な場合には、金融機関に返済条件の変更を相談しましょう。
金融庁からの要請を受けて、金融機関は迅速かつ柔軟に条件見直しをしてくれています。
こうした要請を踏まえ、金融機関において【中略】、条件変更に積極的に対応していただいている【後略】
貸主にも支給通知が届く点に注意
自宅兼事務所について家賃支援給付金を申請する際には、貸主との関係に注意しなければなりません。
自宅兼事務所について家賃支援給付金を申請し受給すると、そのことが貸主にも伝わるためです。
登録いただいた賃貸人(かしぬし)または管理業者の方宛てに、申請者に対して給付金を振り込む旨、お知らせを送付します。
居住用として貸し出されている物件は、たいてい契約書に
と書いてあります。たとえば国土交通省が作成した契約書ひな形には次のように。
(使用目的)
第3条 乙は、居住のみを目的として本物件を使用しなければならない。
ここで家賃支援給付金の支給通知が届くと、物件を(契約に反して)事業用に使っていることが貸主にもわかります。
契約違反ですから、「契約条件(賃料など)」の改定や「契約解除」を求められる可能性も否定できません。
甲は、乙が次に掲げる義務に違反した場合において、甲が相当の期間を定めて当該義務の履行を催告したにもかかわらず、その期間内に当該義務が履行されずに当該義務違反により本契約を継続することが困難であると認められるに至ったときは、本契約を解除することができる。
一 第3条に規定する本物件の使用目的遵守義務【後略】
もちろん、入居の時点で「一部事業用として使用したい」と相談しており、契約にも織り込み済みであれば問題ないのでしょうが・・・。
それでも申請するか、ということは事前に考えておくべきでしょう。
まとめ
当記事では、フリーランスを含む個人事業主の自宅兼事務所と家賃支援給付金の関係について解説しました。
- 対象となるのは、経費として税務申告している部分
家賃のうち「家事按分」によって経費にできる部分の金額が支給対象です。 - 住宅ローンは支給の対象外
本制度の支援対象となる物件は、他人から借りて賃料を払っているものに限られます。 - 貸主との関係に注意
居住専用の契約になっている物件を事業用に使うことは、契約違反にあたる可能性があります。
この記事を書いたひと
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税理士・1級FP。個人事業主や中小法人の税金のお悩みを解決したり、会計処理・税務申告の代行をやったりしています。 freeeが超得意で導入支援の実績多数。一般の方向けのやさしい税務解説記事を書けるのが強みです。詳しいプロフィールはこちら。
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