相続税は、亡くなった方が一定額以上の財産をお持ちだとかかる税金です。
そこで気になるのが
うちは税金がかかるのか、かからないのか
ではないですか?
相続税には基礎控除額というものがありまして、この金額を下回る財産額であれば税金はかかりません。
財産額というのは、預金であれば預金残高のことですので、通帳を見れば一目瞭然です。
問題は不動産。
値札がついてるわけじゃないですからね、財産額って言われてもよくわからん。
というわけで今回は
「土地や建物を税務署がいくらで評価するかザックリ掴む方法」
をご紹介します。
目次
固定資産税の課税明細書をご用意ください
市役所から毎年4月末〜5月初旬に送られてくるもの、ありませんか?
固定資産税の納税通知書のことです。
あなたの今年の固定資産税はいくらで、いつまでに納付しないといけないかお知らせするものなのですが
その中に、「課税明細書」というようなタイトルのものが同封されていませんでしょうか?
タイトルや様式は自治体によって異なりますが、例として横浜市のホームページから拝借したものを紹介します。
なにやら細々と書かれている数字の中に、土地建物の評価を知る上で重要な記載があります。
「価格(評価額)」
そう、土地と建物の評価額は、毎年市役所が教えてくれているのです。
あくまで市役所による評価額なので、税務署による評価額とは一致しません。
(あとで説明しますが、建物は一致します。土地だけ一致しません。)
それでも、この金額から簡単に推測することが可能なんです。
固定資産税の評価明細を使う理由
税務署の評価は公示価格の8割、市役所の評価は公示価格の7割
一物四価
という言葉をお聞きになられたことはございますか?
1つの土地に、4つの違った価格があることを意味する言葉です。
具体的には、次の4つのことを指しています。
- 実勢価格(実際にいくらで売買されているか)
- 公示価格(国土交通省の評価)
- 相続税評価額(税務署の評価)
- 固定資産税評価額(市役所の評価)
これらの金額、じつは相互に関連しているんです。
次の図をご覧ください。
注目なのは相続税評価額と固定資産税評価額
どちらも 公示価格のホニャララパーセント になっていますよね。
このことから
市役所の評価(固定資産税評価額)がわかれば、税務署の評価(相続税評価額)も逆算できる
というわけです。
80%は70%の約1.14倍ですので、固定資産税評価額を1.14倍すれば、相続税評価額をおおよそ掴むことができます。
おおよそですよ、大雑把に。あくまで目安です。
建物に至っては、固定資産税評価額と相続税評価額はまったく同じ
土地の評価額は一物四価の仕組みを利用して大雑把に掴みます。
一方で建物。
こちらは至極かんたんに、かつ正確に掴むことができます。それはなぜか。
家屋 固定資産税評価額に1.0倍して評価します。 したがって、その評価額は固定資産税評価額と同じです。
市役所の評価(固定資産税評価額) イコール 税務署の評価(相続税評価額)
以上!なんと簡単なことでしょう。
実際に計算してみる
それでは土地と建物について、税務署の評価額を概算します。
お手元に市役所から届いた課税明細書をご用意ください。
土地の評価額
課税明細書には、地番ごとに土地の評価額が載っています。
この港町1−1という土地は、評価額が19,325,697円とありますので
19,325,697×1.14= 22,031,283円 が、ザックリの相続税評価額とわかります。
建物の評価額
課税明細書には、建物ごとに評価額が載っています。
母屋と離れ、車庫、物置といったふうに、いくつかに分かれていることもあります。
こちらは記載されている価格がそのまま相続税評価額になります。
8,755,000円ですね。
合計する
22,031,283 + 8,755,000 = 30,786,294円が土地建物の評価額合計です。
この金額と他の財産(預金など)をあわせた金額が相続税の基礎控除額を超えている場合
相続税の申告が必要になる可能性が高まります。
まとめ
土地建物の税務署の評価(相続税評価額)のザックリ計算についてお伝えしました。
まずはこの方法で出した土地建物の評価額と預金などの金額を合算して、財産額のボリュームを把握しましょう。
相続税申告の要・不要を判断する目安を作るためです。
相続税の基礎控除額を大きく下回っていればいいのですが、微妙な場合は税理士への相談をおすすめします。
この記事を書いたひと
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税理士・1級FP。個人事業主や中小法人の税金のお悩みを解決したり、会計処理・税務申告の代行をやったりしています。 freeeが超得意で導入支援の実績多数。一般の方向けのやさしい税務解説記事を書けるのが強みです。詳しいプロフィールはこちら。
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