すまい給付金や次世代住宅ポイントで確定申告が必要なのはこんな人

税理士の伴 洋太郎(ばん ようたろう)@ban_tax240です。

2019年3月27日、消費増税を前提とした2019年度予算案が、参議院本会議で可決・成立しました。

一般会計歳出総額101兆円のうち目玉となるのが、消費税率引き上げへの対策費約2兆円です。その内訳は以下のとおり。

2019年度予算に占める消費増税対策
  • 中小小売店でキャッシュレス決済した消費者に、5%(または2%)のポイント還元(2020年6月まで)

  • 低所得者及び0~2歳児の子育て世代にプレミアム付き商品券を発行(ひとり5千円)・販売(ひとり2万円)

  • すまい給付金の対象所得層を拡大するとともに、給付額を30万円から50万円に引き上げ

  • 省エネ、耐震、バリアフリー、介護・家事負担軽減に資する住宅に消費と交換できる次世代住宅ポイント(新築で基本的に30万円分)を付与

  • 防災・減災、国土強靭化のためのインフラ整備

対策費のうち約1.3兆円(66%)を占めるインフラ整備が「消費増税対策」として掲げられているのが、解せないんですねぇ。そりゃ必要な投資でしょうし、景気の下支え効果もあるのでしょうが。

いっぽう、キャッシュレス決済によるポイント還元は報道でも中心的に取り扱われていますね。全国民一律にポイント還元というのは相当に規模の大きな措置で、対策費としてもインフラ整備を除くと一番大きい金額(約2,800億円)であります。

ただし、税理士的にはもっと気になる点があるんですよ。それがすまい給付金次世代住宅ポイントです。

なんでかって言うと、支給された金額を確定申告しなきゃいけない場合があるから。申告を忘れると、思わぬ税負担を強いられることが有るからです。

そこで当記事では

すまい給付金や次世代住宅ポイントの支給を受けた場合に確定申告しなきゃいけないのはこんな人!
という話題をとりあげます。

各制度の説明

すまい給付金は5→8%の時からつづく増税対策

すまい給付金とは、住宅の取得者に対して国から支給されるお金のことです。

消費税率引き上げに伴って増える住宅取得者の負担を軽減するため、平成26年4月の消費増税時(5%から8%)に導入されました。

金額は10万円、20万円、30万円の3段階あり、所得が少ない人ほど沢山もらえます。8%から10%への消費増税後には、この3段階が5段階になり、最高額は50万円に引き上げられる予定です。

次世代住宅ポイントは、5→8%の時にかつて存在した制度の復活版

次世代住宅ポイントは、住宅の取得やリフォームを行った者に対して国から発行される、商品と引き換えできるポイントです。

平成26年4月の消費増税時(5%から8%)に「住宅エコポイント」という制度がありました(現在は廃止)が、その諸条件が変更され、消費増税に時期を合わせて復活しました。

「環境」、「安全・安心」、「健康長寿・高齢者対応」、「子育て支援、働き方改革」に資する住宅の新築・購入・リフォームを行った場合に、ポイント(1ポイント1円相当)が発行されます。

新築や購入の場合には30~35万ポイント、リフォームの場合には30~60万ポイントが付与されることとなっています。

すまい給付金や次世代住宅ポイントは『一時所得』

以下、次世代住宅ポイントの課税上の取り扱いは、かつての住宅エコポイントと同様で有るものとの前提で説明します。

すまい給付金や次世代住宅ポイントは、所得税や住民税の計算上「一時所得」をよばれる所得に該当します。

一時所得に含まれる金額、時期
  • すまい給付金
    給付金の振込額が、振込があった年の一時所得に含まれる
  • 次世代住宅ポイント
    ポイントを商品と引き換えたり追加工事の費用に充てたりした金額(1P=1円)が、引き換え・追加工事を行った年の一時所得に含まれる

まずは一時所得がどのように計算されるかを確認します。

計算結果が0円なら申告の必要なし

一時所得の金額は、次の計算式で算出します。

法律の規定とは若干説明が異なりますが、結果は同じになります。

2 一時所得の金額は、その年中の一時所得に係る総収入金額からその収入を得るために支出した金額(その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る。)の合計額を控除し、その残額から一時所得の特別控除額を控除した金額とする。
3 前項に規定する一時所得の特別控除額は、五十万円(同項に規定する残額が五十万円に満たない場合には、当該残額)とする。

計算の結果が0円であれば、一時所得は無いということです。無いってことは、確定申告も必要ないってことなんですよ。

計算結果が0になるなら、確定申告は不要

さてここで、計算式にご注目ください。

マイナス50万円というところがありますね。

輝きを放つ50万円

一時所得の計算式では、50万円まで無条件に差し引くことができます。

と、いうことは。

すまい給付金や次世代住宅ポイントが50万円以下であれば、絶対に一時所得が発生しないのですよ。

以下、計算例でそれを確認しましょう。

すまい給付金、次世代住宅ポイントの計算例

すまい給付金10万円の支給と、次世代住宅ポイントを使って30万円相当の商品をもらった場合の計算例をみましょう。

50万円まで引くことができるので、計算結果は0になる

「収入金額」は、受給額の合計である40万円です。

「収入金額得るために支出した金額」は、支給申請書の郵送費用とか、申請に必要な書類の取得費用などが考えられますが、計算を簡単にするために0円とします。

50万円を引いたら、1円も残りませんよね。ですから一時所得は0円、税金はかからないし確定申告の必要もありません。やったね!

確定申告が必要なパターン

すまい給付金の受給額と次世代住宅ポイントの利用額の合計が50万円以下であれば、確定申告が必要であることは確認できました。

それでは、確定申告が必要になるのはどんな場合でしょうか?

以下、2つのパターンをご紹介いたします。

パターン1 収入金額が50万円を超える場合

一時所得の計算では、最大50万円を差し引けることは上述したとおりです。

と、いうことはですよ。

50万円を超えちゃった場合は、一時所得が発生します。確定申告が必要になっちゃいます。マンモスかなピー。

例えば、すまい給付金が40万円と次世代住宅ポイントの利用が30万円相当あったとします。

収入が支出金額を引いた残りが50万円と超えると、一時所得が生じる

引けるのは50万円までなので、20万円の余りが出ますね。このうち半分の10万円が一時所得の金額となります。確定申告書に「10万円」と書いて、税務署へ提出せなばなりません。

また、他の一時所得があるため50万円を超えてしまうというケースもあります。同じく一時所得に該当する『競馬の馬券の払戻金』を例に確認しましょう。

すまい給付金の受給20万円と次世代住宅ポイントの利用30万ポイントがあった年のこと。競馬で10倍のオッズに1万円を投じ、10万円の払戻を受けました。

競馬の配当金収入からは、馬券の購入費用が引けます

上記例では、収入合計60万円から馬券購入費用1万円と50万円を引いた残りが9万円あります。この9万円の半分である4万5千円が一時所得となるのです。

貰えるもんは貰っときたいですよね。しかし貰いすぎると確定申告書しなきゃいけない。

めんどくさいですよね~。

申告は必要だけど、すまい給付金には税金がかからない

ここで朗報です。

所得税法では、国や地方公共団体から受ける補助金について一定の条件を満たすものには、一時所得の計算に含めないこととしています

すまい給付金もその対象です。マンモスうれピー!

次世代住宅ポイントは対象外です。

収入金額にすまい給付金を含めなくてもオッケーな特例がある

居住者が、各年において固定資産(山林を含む。以下この条及び次条において同じ。)の取得又は改良に充てるための国又は地方公共団体の補助金又は給付金その他政令で定めるこれらに準ずるもの(以下この条及び次条において「国庫補助金等」という。)の交付を受け、その年においてその国庫補助金等をもつてその交付の目的に適合した固定資産の取得又は改良をした場合には、その国庫補助金等の返還を要しないことがその年十二月三十一日(その者が当該取得又は改良をした後その年の中途において死亡し又は出国をした場合には、その死亡又は出国の時)までに確定した場合に限り、その国庫補助金等のうちその固定資産の取得又は改良に充てた部分の金額に相当する金額は、その者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しない。

ただしこの特例、確定申告書に国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書というものを確定申告書と一緒に税務署へ提出しなければ使えません

前二項の規定は、確定申告書にこれらの規定の適用を受ける旨、これらの規定により総収入金額に算入されない金額その他財務省令で定める事項の記載がある場合に限り、適用する

税金はとられないけど、申告しなきゃいけないことに変わりないんですよね。

一時所得が20万円未満なら、確定申告を省略できるけど…

なお、給与や年金以外の所得が20万円未満である場合には確定申告を省略できる制度があります。

上記2例はいずれも一時所得の金額が20万円未満ですので、本来は確定申告をせねばらないのですが、やらなくても大丈夫っちゃ大丈夫です。おめでたマンモス!

ただしこの確定申告不要制度、いろいろと罠がありますのでご注意を。

パターン2 住宅ローン減税を受ける場合

住宅ローン減税を受ける場合、減税1年目に確定申告をする必要があります。コレ自体は、すまい給付金や次世代住宅ポイントを貰っているかどうかは関係ありません。

ただしその際、給付を受けたすまい給付金や次世代住宅ポイントの金額を確定申告書に記載しなければならない事となっているんです。

次世代住宅ポイントは「利用した金額」ではなく「付与された金額」です。一時所得のときとは考え方が異なります。
法第四十一条第一項の個人の住宅借入金等【中略】の金額の合計額が、同項に規定する住宅の取得等【中略】に係る対価の額又は費用の額当該住宅の取得等に関し、補助金等(国又は地方公共団体から交付される補助金又は給付金その他これらに準ずるものをいう。以下この項及び第二十三項において同じ。)の交付を受ける場合【中略】には当該住宅の取得等に係る対価の額又は費用の額から当該補助金等の額又は当該住宅取得等資金の額【中略】を控除した金額。以下この項において同じ。)を超える場合における法第四十一条第一項の規定の適用については、当該住宅借入金等の金額の合計額は、当該対価の額又は費用の額に達するまでの金額とする。

国税庁の確定申告書等作成コーナーでも、金額などの入力が求められます。

まず「補助金はあるか?」と聞かれる

どんな補助金をいつ、いくらもらったかを答える

こいつを忘れると、住宅ローン減税の計算が間違ってしまうことがあります。ご注意くださいませ。

まとめ

すまい給付金や次世代住宅ポイントについて確定申告が必要となるパターンについて、お話しました。

同制度の恩恵にあずかる方の多くは、住宅ローン減税も受けるんじゃないかなと思います。忘れずに申告なさってくださいね!

この記事を書いたひと

伴 洋太郎(ばん ようたろう)
伴 洋太郎(ばん ようたろう)税理士
愛知県西尾市にある伴洋太郎税理士事務所の代表です。1982年6月21日生まれ。クラウドを使った業務効率化の提案を得意としています。郷ひろみと間宮祥太朗とばくだんいわを合成したような顔をしている、と言われております。 税法免除大学院1年目に官報合格したという変わり種。freee"マジ価値"meetup!名古屋地区のリーダーです。既婚。詳しいプロフィールはこちら。
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