減価償却とはなにか。

小難しい計算方法などはおいといて、とにかく噛み砕いて説明します。 

減価償却とは何か、しつこいくらいに説明します

 

税理士の伴 洋太郎(ばん ようたろう)@ban_tax240です。

 

そのわかりにくさから、簿記を勉強しはじめた方や自社の決算書を理解すべき経営者を苦しめるもの。

それが減価償却です。

 

そこで当記事では、とにかく噛み砕いて、赤ちゃんでも口にできるくらい砕きに砕いて、減価償却を説明します。

 

『減価償却』という言葉の意味

 

まずもって僕は、『減価償却』という言葉自体が難しいんじゃないかと思うんですよ。

 

日常生活で使わない言葉ですもんね。

「あの人減価償却やって会社クビになったらしいよ。」とか。

「この前彼氏とはじめて減価償却しちゃった。」とか。

 

難しい言葉って、近寄りがたいですよね。

でも大丈夫、言葉自体に大した意味はありません。

 

減価

 

これはひっくり返して読んだほうがわかりやすいです。

 

『価値が』『減る』で『減価』

 

価値が減るってことだな! とご理解いただければそれで十分。

 

今んところナンノコッチャわかんないかもしれないですが、それだけ心にとどめておいてください。

 

償却

 

これはね、もう無視!

最悪、意味わかんなくて構いません。

 

だって国語辞典を見ても

 

しょう‐きゃく〔シヤウ‐〕【償却】

1 借金などをすっかり返すこと。償還。「借用金を償却する」
2 「減価償却」の略。「償却資産」

 

ハァ? ですよね。返すってなに?借金??

さらには「減価償却の償却って何?」って聞いてんのに、「減価償却の略です(`・ω・´)キリッ 」って言われる始末。

 

ややこしいんで無視、無視。

 

なんで減価償却しなきゃいけないのか

 

減価償却とは何か?を理解するには、何故やらなきゃいけないかを知る必要があります。

 

そのポイント(理由)は2つ

 

  1. 使ったときに経費にするのがルールだから
  2. 時とともに減っていく価値を数値化したいから

 

以下に、その内容を説明します。

 

使ったときに経費にするのが大原則だから

 

1つ目のポイントです。

 

減価償却は、使ったときに経費にするという大原則を守るために行います。

 

以下で、その意味を確認しましょう。

 

使ったときに経費にする、の意味

 

切手を例にします。

はがきとか封筒とかに貼る、アレです。

 

減価償却

 

簿記・会計・税金のルールでは、切手を買うために支払った62円を、その切手を貼って投函した時点で経費にします

これが、「使ったときに経費にする」ということの意味です。

 

減価償却

 

現実的には『貼る』と『出す』はほぼ同時に行っていると思いますので、同一視しても問題ないでしょう。

 

買ったときに経費にさせてくれない理由

 

なんでや!お金使ったんだから経費やろ!

とおっしゃりたい気持ちはよーくわかります。

 

でもこれ、税務調査でとっても指摘されやすい、調査官に「ソレダメヨ」って言われやすい論点なんです。

 

これも例を使って考えてみましょう。

 

 

減価償却

ある経営者が決算間近になって頭を悩ませていました。

予想以上に利益が出て、このままだと税金の額がどえらいことになりそうなのです。

 

そこで経営者はひらめきました。

「切手をいっぱい買っていっぱいお金使えば、経費増えるやん!税金減るやん!」

 

当然、決算日までに切手を使い切ることはできません。

でもいいんです。どうせ将来使うし、余りそうなら金券ショップに持っていくし…

 

ということをやられると、好きほうだい利益調整ができてしまいます。

悪意を持って費用をたくさん計上するなど、脱税行為に繋がりかねません。

 

ですから買ったときではなく、現に使ったときに経費にしましょうというルールがあるんです。

 

このルールのことを発生主義といいます。(覚えなくていいです)

 

長年使い続けるものはどうしたら良いのか

 

切手は郵便を1つ出すごとに1枚消費しますよね。

いつ使ったか、が大変わかりやすい。

いつ経費にするか、もわかりやすい。

 

それでは、乗用車などはどうですか?

切手みたいに使い捨てでしょうか?違いますよね。

いつ経費にできるか、わかりますか?

 

結論からいうと、「長年使い続けるなら、長年かけて経費にしましょう」ということになります。

 

減価償却

 

このように減価償却とは、何年かに分けて経費にするための仕組みなのです。

 

時とともに減っていく価値を数値化したいから

 

何年も使うものは、何年かに分けて経費にする。

 

それはわかったが、いったい幾らの金額を経費しなければいけないのか。

それを解決するのが、減価償却を行う2つ目の理由です。

 

減価償却をしなければいけない理由。

それは、時とともにともに減っていく価値を数値化したいからです。

 

以下、例を挙げて

 

  • 価値が下がるとはどういう意味か
  • 数値化するとは?なぜ数値化が必要か

 

を説明します。

 

これも、切手と乗用車を比べるとわかりやすい。

 

価値が減っていくということの意味

 

 

 

減価償却

 

62円切手の価値は、未使用なら62円、使用済みなら0円です。

使用済切手買い取るよー!って方、いないですもんね。プレミアモノならまだしも。

 

一方の乗用車、新車の価値が200万だったとして、一回でも乗車したら0円になりますか?

新車と同じって訳にはいかないでしょうが、さすがに0円にはなりませんよね?

 

 

減価償却

 

 

車は新車が一番高いです。

何が高いかっていうと価格。言い換えれば価値です。

 

そして初年度登録から年数が経つほどに、中古車としての価値は下がっていきます。

 

このように、長年使うものには、時の経過に応じて徐々に価値が減っていくという特徴があります。

 

減った価値を経費にするには、数値化が必要

 

車の価値は、毎年少しずつ減っていきます。

 

ところでその車、事業で使っているわけですよ。

事業で使っているのならば、価値が減った分は経費にしたいですよね。

 

経費にするためには、具体的な金額を計算できなければなりません。

 

と、いうわけで。

減価償却という仕組みは、価値がいくら減ったのかを計算するために必要なルールなのです。

 

ルールを設けないと、おのおの好き勝手な金額で経費に出来てしまいますからね。

 

減価償却

 

減価償却の対象となるものとは

 

ここまで、ナゼ減価償却をやらなきゃいけないかを確認してまいりました。

ここからは、減価償却の対象となるものを確認していきましょう。

 

減価償却の対象となるのは、減価償却資産です。

 

何いってんだおめえは、とお思いかもしれませんが大丈夫!

またしても、噛み砕きまくってご説明します

 

減価償却資産の具体例

 

減価償却資産というのは、おおよそ次のようなものが挙げられます。

 

  • 建物
  • 建物附属設備(電気設備や給排水設備や空調設備など)
  • 構築物(門、塀、看板、舗装路面など)
  • 機械装置
  • 船舶、航空機、車両運搬具
  • 器具備品
  • 生物(果樹、家畜など)
  • ソフトウェア
  • 特許権などの権利

 

減価償却

 

 

なお、土地は(相場変動こそあれ)時とともに価値が減るものではないので、対象外です。

同じ理由で、高価な(1点100万円以上)美術品なども、原則対象外です。

 

減価償却

 

条件付きで減価償却しなくてオッケーなものもある

 

減価償却資産には、条件付きで減価償却しなくていいモノもあります。

 

その条件とは次の2つ

これらのうち、どっちかに該当すれば減価償却しなくて済みます。

 

  1. 1個あたり10万円未満(〜99,999円)
  2. 使用可能期間が1年未満(〜364日)

 

ややこしいので、表にしました。

 

減価償却

 

以下、10万円基準と1年基準について、より詳しく説明します。

 

単価が10万円未満なら減価償却しなくていい

 

なんで10万円未満のものは減価償却しなくていいかっていうと、重要性が低いからです。

 

 

減価償却

 

 

ランボルギーニの創立50周年モデルとやらは、300万ユーロという価格で販売されたそうです。

2018年7月27日時点で、1ユーロ129.62円ですから、3億8千9百万円弱ナリ!

たけええ!!

 

そういうものと比較して、ひと桁万円ってのは金額規模が小さいわけです。

規模が小さいので、適当に経費にしたところで大して変わらんと。

 

これがランボルギーニ50周年モデルだったら、エラいことです。

3.89億円も経費に入れたら、とんでもないことになりますからね。

 

というわけで、少額なものは減価償却みたいな面倒な処理をしなくてもお咎めがありません

 

ちなみに。

『1個』というのは、セットで使うことを前提としているものについては『1セット』で考えます。

 

国税庁が例に挙げているのが、応接セットです。

 

応接セットの場合は、通常、テーブルと椅子が1組で取引されるものですから、1組で10万円未満になるかどうかを判定します。

 

DSC_0146.jpg

 

写真の応接セットは、大きいソファと小さいソファ2個、そしてテーブルの合計金額で、10万円未満かどうか判定します。

 

使用可能期間1年未満なら減価償却しなくていい

 

長年使うモノについては、長年かけて経費にするとご説明しました。

裏を返せば、長年使わないものは、減価償却しなくていいということです。

 

それが10万円以上するものであっても、です。

 

具体的にどういうものがあるか、わかりますか?

 

国税庁が例に挙げているのが、テレビCMのフィルムです。

 

例えば、テレビ放映用のコマーシャルフィルムは、通常、減価償却資産として資産計上(中略)しますが、テレビ放映期間は1年未満であることが一般的です。したがって、テレビ放映の期間が1年未満のものは、「使用可能期間が1年未満のもの」に該当します。

 

また中小企業で多いのは、切削加工用の刃物や大型車両のタイヤなど。

使用頻度の高い企業では、これらは1年ともたずに消耗することもありましょう。

 

 『使用頻度の高い企業では』とわざわざ申したのは、使用可能期間が1年未満かどうかは各企業の実態に即して判断するからです。同じ品番の刃物・タイヤでも、企業によってその期間は変わります。

 

まとめ

 

減価償却について、なるべく噛み砕いてお話しました。

 

それでもやっぱり難しい、減価償却。

しかし節税を考えるならば避けては通れないのも、また減価償却であります。

おすすめの記事