税理士の伴@ban_tax240です。
医療費控除というのは、節税の特例です。
医療費をたくさん使っている人が受けられます。
医療費控除は領収書集めが肝要です。
確定申告の時期が迫ってからではなく、今から溜め込んでおきましょう。
本日は僕の経験上、医療費控除の対象として間違われやすいものをご紹介します。
テーマは次の3区分です。
- 医薬品、サプリメント
- 交通費
- 歯科診療
目次
医薬品、サプリメント
ドラッグストアの薬もオッケー
医療費控除は医者にかかった費用を控除出来る制度だ。
このように誤解しておられる方が大勢いらっしゃいます。
医療費控除の対象となる費用には、市販の風邪薬や傷薬なども含まれます。
医師の指導ではなく、自己判断で購入したものも対象となるのです。
医薬品の購入費用は、治療や療養に必要なものであって、かつ、その病状に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額であれば、(中略)医師の処方や指示がなくても、医療費控除の対象となります。
ドラッグストアのレシートは捨てずにとってありますか?
集めてみると案外たくさんあるんじゃないでしょうか。
漢方薬やビタミン剤はケースバイケース
次の2つをどちらもクリアしている場合のみオッケーです。
- 医薬品であること
- 治療や療養に必要なもの
その漢方薬やビタミン剤が医薬品であることに加え、その費用が治療又は療養に必要なものであることが必要となります。
次のようなものはダメなんですねえ。
- 健康増進を目的としたもの(滋養強壮剤とかサプリメントとか)
- 医薬部外品とかトクホとか機能性表示食品とか
食事療法の食品代はダメ
医師の指導で糖質制限食や塩分制限食による食事療法を行っている。
医師の指導なんだからいいでしょ?
というわけにもいきません。
国税庁がはっきりと否定しています。
自宅で行う食事療法のための食品の購入費用は、治療又は療養に必要な医薬品の購入の対価には当たらず、また、医師による診療等を受けるため直接必要な費用にも当たらないので、医療費控除の対象とはなりません
交通費
公共交通機関の利用料もオッケー
公共交通機関を利用した場合の交通費は、医療に直接かかった費用ではありません。
「医療費控除」という制度名称ですからね、関係ないと思ってしまう方は多いです。
医療費控除の対象となる費用には、医療を受けるためにかかった交通費も含まれます。
電車やバスの領収書は…とってないですよね普通。
そういうときは出発地と到着地さえメモ書きがあれば十分です。
Yahoo!路線情報とかで料金は調べることが可能ですからね!
タクシーはケースバイケース
タクシーの料金については注意が必要です。
どうしてもタクシーでなければいけない事情はありますか?
電車やバスではだめですか?
タクシーじゃないとダメなのっ!ということならばオッケーです。
え?高速も使った?
それなら高速代も入れといたらええです。
タクシー代については、一般的にはその全ての金額が医療費控除の対象となるわけではありませんが(中略)病状からみて急を要する場合や、電車、バス等の利用ができない場合には、その全額が医療費控除の対象となります。
(注) タクシーの利用を余儀なくされる場合において、そのタクシー代の中に高速道路の利用料金が含まれているときは、その高速道路の利用料金も医療費控除の対象となります。
自家用車の利用はダメ
自家用車を使った場合のガソリン代や駐車料金は対象外です。
国税庁がはっきりと否定しています。
通院費は、電車賃やバス賃などのように人的役務の提供の対価として支出されるものをいいます。
したがって、自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金は、医療費控除の対象とはなりません。
歯科診療
金歯やセラミックはオッケー
治療や療養に必要な費用のウチ、一般的に必要となる金額を著しく超えるものは対象になりません。
金歯やセラミック(ポーセレン)の詰め物、被せ物は結構高額ですよね。
保険効きませんし。
ところが、一般に治療に使われている歯科材料なのでオッケーなのだそうです。
金やポーセレンなどの材料は、歯の治療材料として一般的に使用されている現状にあることから、これらを使用した歯の治療費は医療費控除の対象となります。
インプラントもオッケーです!
歯列矯正はケースバイケース
対象となるのは、治療や療養に必要な費用です。
容姿を美化することのみを目的とした歯列矯正は対象外となります。
なお、子供の歯列矯正はオッケーです。
かみ合わせの悪さによって発育段階にある子供の成長を阻害しないようにする、という大義名分がありますからね。
大人の場合には、それぞれの事情を考慮した判断が必要となります。
次のような医師の指導があればオッケーでしょう。
- 頭痛、肩こりの原因になっているので、かみ合わせを治しましょう
- 虫歯、歯周病が進行しやすい状態になっているので、歯並びを改善しましょう
歯列矯正を受ける者の年齢や矯正の目的などからみて社会通念上歯列矯正が必要と認められる場合の費用は、医療費控除の対象となりますが、容姿を美化し又は容貌を変えるための歯列矯正の費用は、医療費控除の対象とはなりません(
まとめ
間違えやすい医療費控除についてお話しました。
でもねえ。
ぶっちゃけ税務署はしっかり見てないんですよね。
医療費の中身まで。
税務署に提出した医療費のレシートも、1年で破棄されちゃいますしね。
この記事を書いたひと
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税理士・1級FP。個人事業主や中小法人の税金のお悩みを解決したり、会計処理・税務申告の代行をやったりしています。 freeeが超得意で導入支援の実績多数。一般の方向けのやさしい税務解説記事を書けるのが強みです。詳しいプロフィールはこちら。
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