事例紹介

CASE

【西尾市】ご親族の相続から1年たたずに次の相続。前の相続でかかった相続税の全額を控除した事例

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基本情報

項目内容
エリア西尾市
ご相談者の属性被相続人のお子様/50代

補足:亡くなられたのはお父様。相続人は配偶者とお子様2人の計3名。窓口はお子様のお一人が務められました。

事例の概要

西尾市で会社を営んでおられたお父様の相続です。その少し前にご親族の相続が起きており、お父様にはそこで相続税がかかっていました。10年以内に相続が続いた場合の相次相続控除を適用し、前の相続でかかった相続税の全額を今回の相続税から差し引きました。あわせて、名義が3通りに分かれていた建物、遠方にある名義だけの賃貸物件、上場していない会社の株式と会社への貸付金を一つずつ確かめ、ご自宅の敷地には小規模宅地等の特例を適用して、期限内に申告を完了しました。

ご相談のきっかけ

お父様が亡くなられたのは年明けすぐのことでした。その少し前に、ご親族の相続も起きていました。その手続きは遠方でまだ終わっておらず、お父様が受け取るはずだったお金も、届いていませんでした。

お父様は長く会社を営んでおられ、ご自宅の敷地には会社の建物が建っていました。遠方には、名義だけが残る賃貸物件もありました。会社の株式をどう評価すればよいのか、短い間に相続が続いたことで税金はどうなるのか。そうした状態で、ご紹介により、相続税の申告について当事務所へご相談をいただきました。

ご相談のポイントと対応

財産が一か所にまとまっておらず、しかも直前にもう一つの相続が起きている案件でした。当事務所では、前の相続の資料まで遡ったうえで、財産を一つずつ確かめていきました。

前に起きていた相続まで遡り、相次相続控除を適用した

  • お父様が亡くなる前の年に、ご親族の相続が起きていた
    前の相続で、お父様ご自身に相続税がかかっていました。10年以内に相続が続いた場合、前の相続でかかった相続税の一部を今回の相続税から差し引ける相次相続控除があります(相続税法20条)。差し引ける割合は1年につき10%ずつ減ります。本件は前の相続から1年に満たず、計算の結果、全額が控除の対象になりました。
    この制度には前の相続の申告書が要ります。前の相続は、ご親族がお住まいだった地域の税理士が担当しており、申告書が固まったのは最初の資料をいただいてから数か月後でした。早い段階で「前の相続の申告書が必要です」とお伝えし、確定を待って計算に反映しました。
  • 前の相続の相続税が、まだ納められていなかった
    相続が始まった時点で納めていない税金は、債務控除の対象になります(相続税法13条・14条)。同じ金額が、控除としても債務としても効きました。

書類だけではわからない不動産を、一つずつ確かめた

  • 建物の書類は、名義ごとに分かれて届く
    固定資産税の名寄帳は、納税義務者ごとに作られます。本件はお父様お一人の名義/配偶者との共有/会社の名義の3通りに分かれており、離れた場所の1棟を合わせて建物は4棟ありました。初回の聞き取りから共有名義・先代名義分も含めて確認し、4通の名寄帳をそろえたうえで、住宅地図に1棟ずつ落とし込み、現地の写真と突き合わせました。

どれか1枚を見ただけでは、全体は見えません。ご自身で財産を数えるときは、共有のものと会社名義のものも忘れずに確かめてください。 登記されていない建物も相続財産です。固定資産税の評価額が付いていれば、それをもとに評価します。

  • 遠方に、名義だけが残っている賃貸物件があった
    50年ほど前の売買でお父様に名義が移っていましたが、その後ずっと管理していたのはご親族で、家賃も固定資産税もそのご親族が扱っていました。それでも、相続が始まった時点の所有者はお父様です。相続財産として計上し、部屋ごとに契約の有無を一覧にして貸家として評価しました。 取壊しが予定されていましたが、相続が始まった時点では工事が終わっておらず、請求も来ていませんでした。

金額が確定していない費用は債務として差し引けません(相続税法14条)。

会社の株式と、会社への貸付金を評価した

  • お父様は、ご自身の会社の株式の過半を持っていた
    上場していない株式には市場価格がありません。決算書・法人税の申告書・定款をもとに、評価の明細書を一から作成しました。配当も利益も出ておらず、帳簿上の純資産もマイナスだったため、会社の資産と負債を相続税の評価額に置き換えて計算する方法で評価します。帳簿に載っていない建物や、会社が土地を使う権利まで洗い出して資産を組み直し、株式の評価額は0円となりました。
    一方、お父様が会社に貸していたお金は、額面どおり相続財産になります。会社が赤字であっても、法律で定められた一定の事実がない限り、評価額は下がりません。

家族間の送金や、亡くなる前の出金の使い道を確かめた

  • 使い道のはっきりしない動きを、一覧にして確かめた
    6つの口座について確認する期間を決め、約10年分の通帳からまとまった金額の入出金を120件あまり抜き出し、一件ずつ使い道を確かめました。ご家族のあいだの資金の移動は、生前贈与に当たるものと、当たらないものを見分けました。
  • 手元の現金を、根拠を書いて算定した
    亡くなられる前に、まとまった出金がありました。お孫さんへの贈与、葬儀の準備、生前の支出を差し引いて相続開始時点の現金を見積もり、どの事実からその金額になったのかを、文章にして申告書に残しました。
    ご家族の口座を経由した支払いや、亡くなる前のまとまった出金に心当たりがあれば、何に使われたお金かを整理しておいていただけると、確認が早く進みます。

対応した結果

  • 相次相続控除により、前の相続でかかった相続税の全額(約130万円)を控除。前の相続からの期間が1年に満たないため、割合の減少がありませんでした
  • 同じ金額が、前の相続の未払いの相続税として債務控除の対象にもなりました
  • ご自宅の敷地に小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)を適用し、課税価格を約1,030万円圧縮
  • 遠方の賃貸物件は、部屋ごとの契約状況を確かめたうえで貸家として評価
  • 上場していない会社の株式は、資産を相続税の評価額に置き換えたうえで評価額0円。一方、会社への貸付金は額面で計上
  • 相続税の対象となった財産は6,700万円台、相続税の総額は190万円台。配偶者の税額軽減により、配偶者が納める相続税は0円となりました
  • 各相続人が納めた相続税の合計は50万円台。相次相続控除を適用しなかった場合は180万円台になる計算でした
  • 申告期限内に、税理士法33条の2の添付書面(書面添付)を付けて申告を完了しました

担当税理士からのコメント

この案件で最初にお伝えしたのは、「前の相続の申告書を見せてください」ということでした。

相次相続控除は、前の相続の申告書がないと計算できません。前の相続を別の地域の税理士が担当していたり、手続きがまだ終わっていなかったりすると、資料が揃うまで時間がかかります。ご家族から「前にも相続があった」と伺ったら、それがいつの相続かを確かめ、前の申告書を探していただく。これが、この種の案件でいちばん最初にすべきことだと考えています。

もう一つ、この事例から申し上げておきたいことがあります。財産は、書類を1枚見ただけでは全体が見えない、ということです。本件では、建物の書類が名義ごとに3通りに分かれていました。遠方には、名義だけが残っていて、実際の管理は別の方がしていた物件もありました。会社に貸していたお金も残っていました。どれも、書類を一枚見ただけでは出てきません。現地の地図と、登記と、決算書と、通帳を突き合わせて、初めて形が見えてきます。

当事務所では、相続税の申告書に税理士法33条の2の添付書面を付けています。どの資料をどう確かめ、どう判断したかを書いて提出する書面です。手間はかかりますが、「なぜその数字になったのか」をご家族にも説明できる形で残しておくことが、申告の後の安心につながると考えています。

相続が続いてしまった、会社や遠方の不動産があって何から手を付ければよいかわからない、といったご相談も承っております。西尾市を中心に、まずはお気軽にお問い合わせください。

よくあるご質問

Q. 短い間に相続が2回続きました。相続税は安くなりますか。

A. 前の相続から10年以内であれば、相次相続控除という制度があります。今回亡くなった方が、前の相続でご自身に課された相続税のうち、一定の金額を今回の相続税から差し引けます。差し引ける割合は1年につき10%ずつ減っていくため、間が短いほど効果が大きくなります。計算には前の相続の申告書が必要ですので、早めにお手元を確かめてください。

Q. 登記されていない建物も、相続財産になりますか。

A. なります。登記の有無は関係ありません。固定資産税の評価額が付いていれば、それをもとに評価します。なお、建物の書類は名義ごとに分かれて届きます。ご本人単独の分だけでは全体が見えません。共有のものや会社名義のものも含めて確かめてください。

Q. 赤字の会社の株式も、相続財産になりますか。

A. なります。評価の結果として0円になることもありますが、「0円である」ことを明細書で示す必要があります。また、会社に貸していたお金は、会社が赤字でも額面どおり相続財産になるのが原則です。会社をお持ちの方の相続では、株式と貸付金の両方を確かめます。


※掲載している事例は、実際にお受けしたご相談をもとにしています。ご家族が特定されないよう、ご家族の構成・年代・経緯などの一部を変更または省略しています。金額は概算です。