基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エリア | 西尾市 |
| ご相談者の属性 | 被相続人の配偶者 |
補足:被相続人は50代の女性。相続人は配偶者と未成年のお子様2名。このほか、生命保険金を受け取られた被相続人のご両親も相続税の対象となり、申告は計5名で行いました。
事例の概要
西尾市で、50代の女性を亡くされたご家族からのご相談事例です。相続人は配偶者と未成年のお子様2名。遺産は7,000万円台で、その半分以上が生命保険金でした。お子様が未成年のため、家庭裁判所で特別代理人を選任したうえで遺産分割を確定。配偶者の税額軽減と未成年者控除を適用し、未成年者控除の使い切れない分は、保険金を受け取られた被相続人のご両親の税額から差し引きました。相続税の総額は200万円台でしたが、申告した5名全員の納付は0円。書面添付制度を利用し、申告期限に余裕をもって申告を終えています。
ご相談のきっかけ
配偶者を50代で亡くされた方からのご相談でした。お子様はお二人とも未成年です。
ご家族を亡くされた直後は、保険金や退職金の請求、お勤め先や役所への届出が次々と続きます。そのなかで、相続税の申告が必要かもしれないと分かり、ご相談にみえました。
抱えていらしたのは、次のようなお悩みです。
- 生命保険金や退職金にも、相続税はかかるのか
- 子どもが未成年の場合、遺産分割はどう進めればよいのか
- これからの生活があるなかで、税金をいくら用意すればよいのか
当事務所のことは、インターネットで知っていただきました。
若い世代の相続では、不動産の評価よりも、金融資産・保険金・退職金の整理と、手続きが中心になる傾向があります。
ご相談のポイントと対応
本件の遺産は7,000万円台。その半分以上が生命保険金で、被相続人名義の土地はありませんでした。財産の評価そのものより、「誰が・何を・どの枠で受け取るのか」を正確に整理することが要になった案件です。
未成年のお子様は、自分で遺産分割に参加できない
- 親権者である配偶者も相続人のため、お子様の代理ができない。
遺産分割では親子の利益がぶつかるため、家庭裁判所で特別代理人を選任する必要があります。本件ではご親族が就任されました。申立ての手続きは、当事務所が日頃から連携している司法書士におつなぎしています。
- 申告期限までに遺産分割が決まらないと、配偶者の税額軽減を使った申告ができない。
家庭裁判所の審判にかかる期間を見込んで日程を組み、審判のあと、すみやかに遺産分割と申告を終えました。
- 生活の基盤は配偶者に、お子様の取り分も確保したい。
ご自宅や預貯金は配偶者がまとめて取得し、お子様には代償金をお支払いいただく形(代償分割)としました。代償金の額は、お子様の法定相続分を下回らない水準を当事務所からお示しし、配偶者と特別代理人とで協議のうえ決めていただいています。
生命保険金は「受取人がどなたか」で扱いが変わる
- 生命保険金の非課税枠は、相続人が受け取った分にしか使えない。
非課税枠は「500万円×法定相続人の数」。本件では1,500万円ですが、一部の保険は受取人が被相続人のご両親でした。ご両親は相続人ではないため、その保険金は全額が課税対象になり、ご両親も相続税の対象になります。 契約を一件ずつ確認し、非課税枠を使える保険金と使えない保険金を切り分けました。
未成年者控除の「使い切れない分」を、ご両親の税額から差し引く
- お子様の税額より、未成年者控除の枠のほうが大きい。
未成年者控除は「成年になるまでの年数×10万円」。お二人分の枠は、お子様ご自身の税額を大きく上回っていました。枠の大半が余ります。
- 余った枠は、扶養義務者の相続税から差し引ける。
被相続人のご両親は、お子様から見て扶養義務者に当たります。そこで、余った枠をご両親の税額に充て、納付を0円にしました。配偶者の税額は配偶者の税額軽減で0円です。
保険金の出ない保険と、亡くなった後に入るお金を一件ずつ仕分ける
- 学資保険など、被相続人が契約者で保険金が支払われない保険。
解約返戻金に相当する額が相続財産になります(生命保険契約に関する権利)。保険会社から評価額の証明を取り寄せ、漏れなく計上しました。
- 亡くなった後に振り込まれるお金は、相続財産に含めるもの・含めないものが混ざっている。
相続財産に含めるもの:入院給付金、高額療養費、保険料や掛金の還付など。入金の通知を一枚ずつ確認して計上しています。亡くなる前後の預金の出入りも通帳で確認し、手許に残っていた現金は相続財産に計上しました。税務調査では必ずと言ってよいほど確認される点です。
相続財産に含めないもの:お勤め先からの弔慰金(一定額までは相続税の対象外。上限の範囲内であることを確認)、ご遺族に支給される埋葬料など。通知を一件ずつ読み、どちらに当たるかを仕分けました。
対応した結果
- 遺産総額は7,000万円台。その半分以上が生命保険金。
- 学資保険などの生命保険契約に関する権利や、亡くなった後に入金されたお金を一件ずつ仕分け、亡くなる前後の預金の出入りも確認したうえで、計上すべき財産の範囲を確定。
- 生命保険金の非課税枠1,500万円を適用。死亡退職金は別枠の非課税枠に収まり、全額が非課税。
- 課税価格は基礎控除4,800万円を2,000万円あまり上回り、相続税の総額は200万円台。
- 配偶者の税額軽減と未成年者控除で、その全額を控除。
- 未成年者控除の一部は、ご両親の税額から差し引いた分です。
- 結果、申告した5名全員の納付税額は0円。
- 特別代理人の選任を経て遺産分割を確定し、申告期限に余裕をもって申告を完了。
- 書面添付制度(税理士法第33条の2)を利用し、財産の範囲をどう確認したかを書面で税務署に伝えています。
担当税理士からのコメント
働き盛りの方が亡くなられた相続は、ご高齢の方の相続とは中身が違います。ご自身で多くの不動産をお持ちのケースは少なく、遺産の中心は預貯金などの金融資産や、生命保険金、死亡退職金になる傾向があります。親御様がご存命であること、相続人が若いことも、この世代の相続の特徴です。財産の一つひとつは難しくありませんが、種類が多く、書類は亡くなった後に少しずつ届きます。ご家族は、悲しみのなかでその手続きに追われることになります。
お子様が未成年の場合は、ここに家庭裁判所の手続きが加わります。特別代理人が決まらなければ遺産分割ができません。そして、申告期限までに遺産分割が調わなければ、配偶者の税額軽減を使えないまま、いったん納税することになります。申告期限は10か月。順番を間違えると間に合わなくなります。当事務所では、最初のご相談の時点で全体の日程を組み、いつまでに何を済ませるかを一緒に整理しています。
もう一つ、この事例に関連して、知っておいていただきたいことがあります。生命保険金は、受取人をどなたにするかで、相続税の計算が変わります。保険金の非課税枠は、相続人が受け取った分にしか使えないためです。もちろん、どなたに保険金を遺すかは、ご家族それぞれのお考えで決めることで、相続税だけで決まるものではありません。ただ、必要な保障も、遺したい相手も、結婚や出産といったライフステージによって変わっていきます。
税理士であり、ファイナンシャル・プランナーでもある立場からは、節目ごとに、保険の内容がいまのお考えに合っているかを確かめておかれることをおすすめしています。
相続税がかかるかどうか分からない段階でも、ご相談いただいて構いません。保険金や退職金を合わせると基礎控除を超えていた、というケースは珍しくありません。当事務所では、必要な書類の整理から申告まで一貫してお手伝いしています。相続のことでお困りの際は、お気軽にご相談ください。
よくあるご質問
Q. 子どもが未成年の場合、遺産分割はどう進めるのですか?
A. 親も相続人である場合、親は子どもの代理人として遺産分割に参加できません。親と子の利益がぶつかるためです。家庭裁判所に申し立てて特別代理人を選任してもらい、その特別代理人が子どもに代わって遺産分割の話し合いに加わります。申立てには、遺産分割協議書の案を添えます。
Q. 親が受取人になっている生命保険金に、非課税枠は使えますか?
A. 亡くなった方にお子様がいる場合、亡くなった方の親は相続人になりません。生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)は、相続人が受け取った保険金にしか使えないため、親が受け取った保険金は全額が相続税の対象になります。
Q. 未成年者控除が使い切れないときは、どうなりますか?
A. 使い切れなかった分は、その未成年者の扶養義務者(配偶者、父母や祖父母などの直系血族、兄弟姉妹など)の相続税から差し引くことができます。ただし、その扶養義務者が同じ相続で財産を取得し、相続税がかかっている場合に限られます。
※掲載している事例は、実際にお受けしたご相談をもとにしています。ご家族が特定されないよう、ご家族の構成・年代・経緯などの一部を変更または省略しています。金額は概算です。




