2020年以降、個人の所得計算はさらに複雑になります。
サラリーマンや年金受給者で高収入の方は特にです。
で、思い出したのが、タイトルの件。
大学院に通っていた頃の話
2016年の春、僕は大学院に入学しました。
修士課程を修了し論文を書くと、試験が2科目免除になるためです。
幸いにも同じ年の冬に最後の試験科目に合格し、大学院は中退しました。
免除制度は使わずに済んでしまったわけです。
余談ですが、病院にも入院して退院しています(1ヶ月間)。肺気胸(通称イケメン病)でした。
これほど「悲喜こもごも」という言葉が似合う年は自分史上あっただろうか?いや無い(反語)。
そんな最中の、大学院での講義中のエピソードです。
税法が複雑になるとはどういうことか
講義中、出席している全学生が一人ずつ意見を述べる機会がありました。
話題は当時まだ検討段階であった、配偶者控除の改正について。制度をより複雑にするような方向で改正が検討されていたのです。
僕はマイクが廻ってくると、こう主張しました。
”制度の簡素化”と”公平中立な課税”とは、二律背反の関係にあります。あっちを立てればこっちが立たない。
なので、ある程度複雑になってしまうのはしょうがないと僕も思います。
複雑であるがゆえに受けられる恩恵(節税制度)もありますしね。
でも、その複雑さに辟易している納税者を沢山見てきたんです。
複雑さゆえに、税理士や税務署の言いなりになってしまう納税者も。
複雑さゆえに、申告すべきものをほったらかしにしている納税者もまた、沢山いることでしょう。
なので、国民の多くに関係する所得控除くらいは簡素にしてあげてよ、と今も思っています。
簡素であることは納税者にとっての利益のひとつだと考えているからです。
税が複雑になるほど税理士が得をする?
僕が発言したあとも、マイクは教室内を順に廻っていきます。
ほどなくして、ある学生が意見を述べました。
なるほど、なるほど。
君と僕との意見には、共通することがあります。
それは、価値を念頭に置いている点です。
決定的に違うところもあります。
それは、顧客にとっての価値をどう捉えているかという点です。
納税者にとっての価値とはなんたるか?
税理士に申告を依頼される方は、おおむね次のようなことを考えておられるのではないでしょうか?
- 遵法意識から
税理士に頼めば、適正に申告してくれる。 - 税の負担感から
税理士頼めば、節税の提案をしてくれる。 - 面倒に思う気持ちから
税理士に頼めば、申告作業を代行してくれる。
そんなこと考えてねーよ!という方。申し訳ありません。僕の不勉強です。
ここから先は、仮説が正しいものとしてお話しします。
税法が簡素に、素人にやさしい仕組みになったとしたらどうでしょう?
- 税理士に頼らずとも適正な税務申告ができて
- 過度な納税を強いられることもなく
- 簡単に申告作業を済ませられるようになる
という未来がまっているかもしれません。
それこそが顧客価値ではないですか?
本屋に行けば、その確からしさを感じることが出来ます。
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あんときの君へ。
意見は人それぞれだからね、いいんだけどさ。
税制が複雑になればなるほど税理士の価値が高まるとは、なんと手前勝手な考えか。
と、僕は思います。
まとめ
税法が複雑になることについて、エモエモに思想を語っちゃいました。
何を隠そう、辟易しているのは税理士である僕自身であったりします(´・ω・`)
所得控除の早見表がどんどん増えていく…。
この記事を書いたひと
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税理士・1級FP。個人事業主や中小法人の税金のお悩みを解決したり、会計処理・税務申告の代行をやったりしています。 freeeが超得意で導入支援の実績多数。一般の方向けのやさしい税務解説記事を書けるのが強みです。詳しいプロフィールはこちら。
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