経営者が銀行に融資のお願いをする場面では、どうしても借り手である経営者の方が立場が弱くなります。
そんな時には味方が欲しくなるのが人情ってもんです。

そこで、銀行との面談の場に税理士の同席を望まれる経営者様もいらっしゃいます。

今回は、銀行面談への税理士同席が有効であるか検討しましたが、同席は逆効果であるというのが私の結論です。

銀行との面談ではどんなことが聞かれるの?

銀行との関係性や融資担当者によって差はありますが、融資に必要な格付けのため、概ね次のようなことが確認されます。

事業内容について

特に初めて融資を受ける場合には、お客様がどんな事業を行っているか(行う予定であるか)必ず確認されます。

「儲かりそうだな」などと思わせることも確かに重要ですが、それとともに経営者の誠実さと熱意、真剣さが伝わることも重要です。

融資の必要性、必要金額について

これが明確でない経営者に、銀行が融資を行うことはありません。

  • 機械の購入に1,000万円が必要で、自己資金として用意できるのは300万円。残額の700万円を貸して欲しい。
  • 現在大型案件を受注しているが、納品が完了して売上500万円が入金するまでに○か月かかる。その間の運転資金として200万円貸して欲しい。
  • 今期の申告で多額の納税を予定している。納税資金として100万円を貸して欲しい。

なぜ必要か、いくら必要か。具体的な説明が求められます。

決算書・試算表の内容について

経営者様の返済能力を査定するため、決算直後であれば決算書、決算から日が経っていれば試算表(月単位で作成するミニ決算書)の提出を求められます。

新規創業の場合には決算書や試算表はありませんよね?その場合には次の「計画の有無」が大変重要になります。

ここで必要なことは、嘘や隠し立てをせず、いい面も悪い面も正直に伝えることです。
自身の強みも弱みも認識できている経営者であると思ってもらう必要があるためです。

とはいえ、何でもかんでも聞かれる前にしゃべくるのもよくありません。赤裸々すぎるのも考えものです。

計画の有無について

銀行にとって最も興味があるのは、「貸した金が本当に返ってくるか」です。
ですから、「なぜ借りるか」の説明だけでなく「どう返すか」の説明ができる経営者が好まれます。

事業計画書の作成が融資交渉にあたって大きな武器になるのは、このためです。

銀行面談への税理士同席は逆効果である理由

銀行は経営者個人に期待して金を貸す

次のグラフは、中小企業庁発行「2016年版中小企業白書」に掲載されたものです。金融機関が融資の際に評価している項目と、経営者が「ここを評価して!」と考えている項目のギャップを示しています。

第2-5-48図 金融機関が担保・保証以外に考慮している項目と企業が担保・保証以外に考慮して欲しい項目

1位と2位は企業側と銀行側で回答が一致しています(しかし、%の差が激しいですね。事業の安定性、成長性と税務内容は、経営者が思う以上に銀行にとって必須要件だということでしょう。)が、企業側は第3位以降に「返済実績・取引ぶり」「営業力・既存顧客との関係」と回答している一方で、金融機関は「代表者の経営能力や人間性」「会社や経営者の資産余力」と回答しています。

 

これは、金融機関が経営者個人の資質(個人資産をいくら持っているかということを含め)を評価して融資しているということに他なりません。

経営者の資質を見るのに、税理士の同席は邪魔

先に書いた通り、銀行との面談においては経営者自身が認識をし、説明をし、意欲を示すことが重要です。

そんな時に税理士がしゃしゃり出てあれこれと意見してしまっては、「ああここの社長は、自分の事業のことを自分で説明することさえできないんだ」と思われかねません。

 

経営者個人の資質を評価する観点からは、逆効果でしかありませんね。

融資相談にあたり税理士がすべきこと

では、融資相談にあたり税理士が無力であるかといえば、当然ですがそんなことはありません。

 

常日頃から会社の財務状況を税理士が分析し、経営者が腹に落ちるように説明する。これを繰り返していれば、経営者も自らの言葉で事業を語ることができるはずです。

 

それでも財務会計についての専門的な問いに経営者が回答することが困難な場面もあるはず。そんな時こそは税理士の出番。バンクミーティングの「ここぞ」という時の切り札として使うのが、正しい税理士の利用法です。

 

また銀行に対する説得力のある決算書・試算表・事業計画書を作成することも税理士の大きな役割の一つでしょう。

 

更にいえば、そもそもお金を借りる必要のないような経営をできるように、キャッシュフローの重要性を説くこともことも税理士の仕事です。

まとめ

銀行との面談に税理士が同席しないほうがいい理由をお話ししました。

 

思えば親が子供ににおねだりされたときなんかでも「みんな持ってるもん!」じゃ納得できないですよね。

そんな時は子供でも「次のテストで100点とるから。」とか「毎日お皿洗い手伝うから。」とか言うもんです。そこに保証はないけども。

で、あまりの熱意に「しょうがねえなあ。」となってしまうわけじゃないですか。

 

資金が潤沢でないとか、経営が安定していないとか言うことは中小企業に付き物と言うか、だからこそお金を借りたいわけですので、その点を大きく評価してもらうことは期待できません。

 

となると、結局一番大事なのは「熱意」だと思うわけです。

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